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Channel: REAL-JAPAN »上念 司
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稼ぐまちが地方を変える―誰も言わなかった10の鉄則 木下 斉 (著)を読む

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地域経済を語る上で必読の書。木下さんは単なる評論家ではなく、この道で食っている正真正銘のプロです。

高校生から商店街と町おこしの事業に関わり、20代前半で手痛い失敗をして、アメリカで経営学を学ぶという経歴からしてタダ者ではありません。普通、こういう地方活性化ネタを書く人はテキトーなキレイごと言って、最後には「行政と連携して、、、」みたいなふわふわした話で終わるんです。そうじゃない場合は、人口デフレのおっさんみたいに「自治体消滅!」とか煽って結論が木質バイオマスみたいなトンデモなんです。

どいつもこいつも、困っている人から金を巻き上げるビジネスモデルでしかないんですよ。結局補助金アドバイザーもどきや、インチキ産業政策の営業マンみたいな奴ばっかりなんです。

でも、木下さんは違います。
本当にサステイナブルに町を活性化することで、お金を儲けています。
例えば、エレベーターのメンテナンスをバラバラの業者に発注するのを辞めて、商店街全体で大口契約にまとめて各社から見積もりを取るみたいな経費の節減をするんです。そして、浮いたお金から商店街全体にプラスになる投資資金をねん出するみたいなことやります。しかも、補助金はゼロ。補助金は麻薬みたいなもんで、一回もらっちゃうと、次も補助金もらうことがメインになって事業で儲けるという本来のスタンスが揺らいでしまうそうです。客の方を向いて仕事をするか、役所の方を向いて仕事をするかってことですね。もちろん、客の方向いてたほうが成功する確率は圧倒的に高いんです。

町づくりという一見公的な仕事でも、商売として継続可能な収益構造を作ることが重要なんです。私も小さな商売をやっている事業家ですが、これは商売をやる上で全くもって正論であると言えます。まずは低空飛行でもいいから飛び続けられる体制を作って、上昇気流が来るのをじっと待つ。これしかないですよ。商売は。

地方活性化にもビジネスの視点が必要なんて言い方じゃヌルすぎます。
地方活性化こそビジネスそのものなんです。
これが分からない奴が多いから、地方の活性化は難しいんですね。
とはいえ、木下さん曰く「100人のうち、2、3人分かってくれれば十分やれる」とのことです。最初は少数の強固な連帯で、小さな結果を出す。結果がでれば徐々に付いて来る人が増えるってことです。この考え方も全く持って正しい。商売で成功するのと同じノウハウといえるんじゃないでしょうか。

そういう意味では、地方活性化にあまり関心のないビジネスパーソンにもオススメの一冊です。
みなさん、ぜひお読みください!


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